□2019年11月:トレーニングコラム:
[マラソントレーニングや長時間運動時のエネルギー源の変化について]
メンバーから、「ファットアダプテーションを実践しています」というメールをいただき、調べてみました。メンバーとそれについて意見交換をしていくうちに、運動時のエネルギー源の変化についてまてとめてみようと思い立ちました。
マラソンなど走る中で、カラダの中のエネルギー源がどのように変化していくか、そして、長時間の運動に効果があるといわれる、食事法や、カーボローディング、ファットローディングについてもまとめてみました。
さて、長時間運動するということは、カラダの中にある様々なエネルギーを使う事になります。食事で摂ったエネルギーはもちろん、身体に蓄えられたエネルギーの糖や脂肪、タンパク質も使われ、運動を継続することができます。
運動前に普段どおりの食事を摂るとします。
食事や補給などで炭水化物を摂取すると、血糖値があがりインスリンが分泌されます。インスリンは、まず筋肉に栄養を蓄えるように働きます。ですから、運動エネルギーとして炭水化物から得た糖をすぐに利用しようとしても上手く使えず、パフォーマンスに影響します。
食事や補給などで炭水化物を摂取すると、血糖値があがりインスリンが分泌されます。インスリンは、まず筋肉に栄養を蓄えるように働きます。ですから、運動エネルギーとして炭水化物から得た糖をすぐに利用しようとしても上手く使えず、パフォーマンスに影響します。
運動前の食事は、2~4時間前までに済ませておく、飲み物や補食の摂取は、運動前30~60分前までに、といわれていますが、ただ単に胃の消化吸収ということだけでなく、血糖値が落ち着きインスリンがエネルギー消費の邪魔をしないようにするためのものでもあります。
このインスリンのコントロールですが、定期的に運動をすることで、上昇したインスリンをすみやかに低下させる能力が高まります。糖尿病の運動療法がこれになります。
なので、長期マラソントレーニングをしている人は、この能力も高くなっている可能性があります。(体質によるので、一概にいえませんが)
なので、長期マラソントレーニングをしている人は、この能力も高くなっている可能性があります。(体質によるので、一概にいえませんが)
マラソンなどの中程度強度の長時間運動を開始するとまずは、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲン、食事などで摂取した糖をエネルギーとして消費します。血中に存在する遊離脂肪酸も使用しますが、それらが消費されると、脂肪が主なエネルギーとして使われようになります。
その脂肪燃焼が開始されるのは、運動開始から20分~30分後。
トレーニングによっては、この脂肪代謝に切り替わる時間を少し早くすることはできます。
その脂肪燃焼が開始されるのは、運動開始から20分~30分後。
トレーニングによっては、この脂肪代謝に切り替わる時間を少し早くすることはできます。
日本の実業団などのトップ選手は、朝食前の朝練習に水だけを摂って走りに行くというのは、この脂肪代謝を早めることを目的にしています。
走るエネルギー源として使いたい脂肪燃焼までに時間がかかるのであれば、糖をたくさん蓄えて走ろうというのがカーボローディングです。
走るエネルギー源として使いたい脂肪燃焼までに時間がかかるのであれば、糖をたくさん蓄えて走ろうというのがカーボローディングです。
フルマラソンを走ると、2000キロカロリーから3000キロカロリー消費すると言われています。(天候や走るスピードなどの影響によりもっと消費することもあります。)
よく知っている方もいらっしゃると思いますが、マラソン前の食事は、「カーボローディング」といわれています。これは、エネルギーの貯蔵のピークを競技開始合わせるための食事法で、できるだけカラダの中(筋肉や肝臓など)にグリコーゲンを蓄えておいて、エネルギー切れにならないようにするのが目的です。
大会一週間前から炭水化物を抜き、3日前の夜から炭水化物を多く摂るという食事法です。
このフルマラソンに効果があるといわれるカーボローディングですが、最近では、数日前から普通の食事の中で、炭水化物を少し増やす程度でも効果があると言われています。
このフルマラソンに効果があるといわれるカーボローディングですが、最近では、数日前から普通の食事の中で、炭水化物を少し増やす程度でも効果があると言われています。
糖をたくさん蓄えて走ったらよいとはいえ、レースで糖エネルギーを使い果たしたら、脂肪代謝が大事になってきます。
脂肪代謝を上手く使うということでは、マラソンのさらに長い距離・長い時間を走るウルトラマラソンランナーやトレイルランナーなどの間で、ファットアダプテーションという食事法が、ここ最近話題になっています。
トップトレイルランナーで体脂肪5~7%という方もいます。そうなると、体内に3~4kgの体脂肪があり、脂肪1kg燃焼カロリー7000キロカロリーですから、カラダに2万~3万カロリーの蓄えがあると考えると、長時間運動に最適なエネルギー源の脂肪、この脂肪を使わない手はありません。
その体脂肪を使えるようにシフトさせるのが、ファットアダプテーション。
高脂肪、低炭水化物な食事で、血糖値の乱降下を抑え、脂肪を燃焼しやすい体にしていく、疲労回復を早める食事法として注目されています。
脂肪>タンパク質>野菜>炭水化物という割合で食事を組み合わせます。
ファット=脂肪・アダプテーション=適応
というぐらいですから、この食事法で脂質をエネルギー源として、活動できるようにカラダを慣らす、そして普段の食事から油脂の摂取に慣れさせるという目的もあるのではないかと考えます。
ファット=脂肪・アダプテーション=適応
というぐらいですから、この食事法で脂質をエネルギー源として、活動できるようにカラダを慣らす、そして普段の食事から油脂の摂取に慣れさせるという目的もあるのではないかと考えます。
そして、ファットアダプテーションに慣れた体にした上で、大会に合わせて脂肪を蓄える食事法、ファットローディングがあります。
高脂肪、低炭水化物な食事を摂取してレースに臨み、後半のエネルギー枯渇などを防止するのが目的で、これはレース開始から遊離脂肪酸を上手く使い、炭水化物代謝を温存しておき、パフォーマンス低下を防ぐというもの。
普段はファットアダプテーションの食事で脂肪代謝に適応していくカラダをつくり、大会3日前からファットローディングをして、レースに臨むという方法です。
このファットローディングは、レース3日前から、食事をいつもより高脂肪・高タンパクな食事、サラダのドレッシングやヨーグルトに油を足す(食用油、コーヒーフレッシュ、生クリームなど)などして、脂質を摂取し、大会に向けて、血糖値の上昇降下をおさえつつ、走り始めから脂肪をエネルギーとして使えるようにする方法です。
しかし、ファットアダプテーションの食事方法で、極端な食事制限が取り上げられている例が多く見受けられます。注意が必要です。
今回、トレイルランをしている方々に直接アドバイスをいただきました!!
ファットアダプテーションを活用して、トレイルランやUTMF(ウルトラトランスマウントフジ)を完走しているランナーから、その効果を聞いたところ、
利点:エネルギー補給の間隔が明らかに広がって、食料などの荷物量が減る
欠点:パワー不足により高出力を出せなくなったり、体調が悪くなるケースもある
『美味しいものを好きなだけ食べつつ、能力向上しましょう』〈ウルトラ・トレイルランナー SAITO さん〉
また、日本国内のトレイルランはもちろん、トレイルランニング世界選手権に日本代表で走るプロトレイルランナーは、ファットアダプテーションを実施していないということでした。
『しっかり食べて多くの栄養を摂取し、走る距離で調整することが最高のトレーニングであり、調整方法です。』〈プロトレイルランナー 荒木宏太 さん〉
日本山岳耐久レース ハセツネカップ 女子優勝者ランナーもファットアダプテーションは実施していないということです。 内臓をやられやすいため、内臓をキレイな状態に整えることを気をつけているそう。2週間くらい前から消化が悪いような物は避けたり、食べ過ぎ飲み過ぎしないようにしたり。当たり前の事を当たり前にすることが大切だと言います。
今回、トレイルランをしている方々に直接アドバイスをいただきました!!
ファットアダプテーションを活用して、トレイルランやUTMF(ウルトラトランスマウントフジ)を完走しているランナーから、その効果を聞いたところ、
利点:エネルギー補給の間隔が明らかに広がって、食料などの荷物量が減る
欠点:パワー不足により高出力を出せなくなったり、体調が悪くなるケースもある
『美味しいものを好きなだけ食べつつ、能力向上しましょう』〈ウルトラ・トレイルランナー SAITO さん〉
また、日本国内のトレイルランはもちろん、トレイルランニング世界選手権に日本代表で走るプロトレイルランナーは、ファットアダプテーションを実施していないということでした。
『しっかり食べて多くの栄養を摂取し、走る距離で調整することが最高のトレーニングであり、調整方法です。』〈プロトレイルランナー 荒木宏太 さん〉
日本山岳耐久レース ハセツネカップ 女子優勝者ランナーもファットアダプテーションは実施していないということです。 内臓をやられやすいため、内臓をキレイな状態に整えることを気をつけているそう。2週間くらい前から消化が悪いような物は避けたり、食べ過ぎ飲み過ぎしないようにしたり。当たり前の事を当たり前にすることが大切だと言います。
『レース前の食事ばかりに気を取られては、大会でよいパフォーマンスを発揮する事はできません。』 ハセツネ女子優勝者 北島良子 さん
食事制限などは、体質などにより、合う合わないはあると思いますので、無理なく、普段の食事はバランスよく、食べたいものを食べて、楽しくランニングが一番だと思います。
他にも、トレイルランナーのこんな記事をみつけたので、ご参考までに。
https://www.facebook.com/trailrunning.jp/posts/2137491992985998/
ファットアダプテーションについて色々調べていくうちに、コーチは現役のころから、炭水化物を少なめに、タンパク質の摂取が不足しないように考えて食事していました。これはファットアダプテーションだったのではないかと思えてきました。
https://www.facebook.com/trailrunning.jp/posts/2137491992985998/
ファットアダプテーションについて色々調べていくうちに、コーチは現役のころから、炭水化物を少なめに、タンパク質の摂取が不足しないように考えて食事していました。これはファットアダプテーションだったのではないかと思えてきました。
そして、わたしは、極端なカーボローディングは合わないのです。
大会数日前からまたは前日に、少し炭水化物を増やす程度のカーボローディングで、5時間とか6時間とか走れます。
大会数日前からまたは前日に、少し炭水化物を増やす程度のカーボローディングで、5時間とか6時間とか走れます。
そんなこともあって、美走メンバーにも、カーボローディングに関してもゆるく指導していますよね。
みなさんには、体調を崩すことなく、元気に大会のスタートラインに立って、エイドも楽しみながら、栄養補給しながら走ればよいと思っているからです。
でも、みなさんの中で、試してみたい事や方法があれば、無理のない範囲で挑戦して良いとも思っています。(あくまでも、練習でですよ。大事な大会前ではなくて。)
でも、みなさんの中で、試してみたい事や方法があれば、無理のない範囲で挑戦して良いとも思っています。(あくまでも、練習でですよ。大事な大会前ではなくて。)
先に書いた、トップ選手の朝練習の例もそうですが、長時間のランの時に、あえてエナジージェルなどはとらずに、水分だけ摂取して、脂肪をエネルギーとして使える体にしておくことも、ファットアダプテーションのひとつなのではないかと思ってしまいます。
みなさんは、普段のランでこの脂肪燃焼ランを実施してみてはいかがでしょうか。2時間以上走るランや、距離走やLSDなどで試してみて、カラダの変化を体感してみてください。
何度か試していくうちに、脂肪代謝に切り替わったときが分かるようになりますよ。
リディアードのトレーニングでも、有酸素ロングランの時は、『走りながらエナジー補給を続ける間違いを犯さないでください。ロング・ランは、身体に保存されたエナジーを使いこなすことを学ばせる絶好の機会なのです。必要であれば、給水による水分補給は怠らないようにしましょう。』と提示しています。
http://www.lydiard-running.com/TrainLydiard
練習で実施する場合は、2~4時間前までに食事を済ませておく、飲食や軽食摂取は、運動前30~60分前までにし、その後スタート前までの水分補給は「水」。朝練習で実施してみてもよいですが、その場合は、LSDの低強度の練習や短めのジョグなど短時間の練習時にしてください。
練習をスタートしてからの補給は、糖質の入っていない水や麦茶など。夏、その他の季節でも暑い日、足がつりやすいなどありましたら、スポーツドリンクや塩分タブレットを使用して構いません。(糖が入っていますが、倒れたりしたら大変ですから、そのあたりは安全の範囲内で実施しましょう)
万が一、エネルギー切れになってしまったときの為に補給できる、エナジージェルも持っていったほうがよいでしょう。
走っている時のカラダの変化を知っておく事で、大会当日どの辺りでエネルギーを補給したらよいか目安になると思います。ご自身にあった無理のない方法で、ゴールをめざしていきましょう。
http://www.lydiard-running.com/TrainLydiard
練習で実施する場合は、2~4時間前までに食事を済ませておく、飲食や軽食摂取は、運動前30~60分前までにし、その後スタート前までの水分補給は「水」。朝練習で実施してみてもよいですが、その場合は、LSDの低強度の練習や短めのジョグなど短時間の練習時にしてください。
練習をスタートしてからの補給は、糖質の入っていない水や麦茶など。夏、その他の季節でも暑い日、足がつりやすいなどありましたら、スポーツドリンクや塩分タブレットを使用して構いません。(糖が入っていますが、倒れたりしたら大変ですから、そのあたりは安全の範囲内で実施しましょう)
万が一、エネルギー切れになってしまったときの為に補給できる、エナジージェルも持っていったほうがよいでしょう。
走っている時のカラダの変化を知っておく事で、大会当日どの辺りでエネルギーを補給したらよいか目安になると思います。ご自身にあった無理のない方法で、ゴールをめざしていきましょう。
こんな記事もみつけたので、ご参考までに。
ファットアダプテーション
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190721-00010002-womensh-life
GI カロリーコントロール
https://club.panasonic.jp/diet/calorie_control/gi/index.html
ロカボ
https://locabo.net/about/
あと、おまけ
https://wired.jp/2019/03/21/huel-soylent-meal-replacement-drinks/
結局、加工食品は補助的に利用して、栄養は本物の食品からとるのが良い。
みなさんのマラソントレーニングの一助になれば。
美走ならしのRC 市川美歩
2019年11月
美走ならしのRC
ホームページ
https://sites.google.com/view/misourc/top
ファットアダプテーション
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190721-00010002-womensh-life
GI カロリーコントロール
https://club.panasonic.jp/diet/calorie_control/gi/index.html
ロカボ
https://locabo.net/about/
あと、おまけ
https://wired.jp/2019/03/21/huel-soylent-meal-replacement-drinks/
結局、加工食品は補助的に利用して、栄養は本物の食品からとるのが良い。
みなさんのマラソントレーニングの一助になれば。
美走ならしのRC 市川美歩
2019年11月
美走ならしのRC
ホームページ
https://sites.google.com/view/misourc/top